(不穏な二人!ご注意を!!)





「気分はどうだ?」

ぐたりと床に伏したヤツの顔を無理矢理上げさせれば、
呻き声のような応えが返ってきた。

どんな長剣でも羽の様に扱うコイツが、
力なく俺のされるがままになっている姿に、快感にも似た震えが背筋を走る。
知らずに限界を越えていた劣等感が、こんな形で優越感に変わるとは。

皮肉なものだ。

コイツの生殺与奪は俺の手の中にある。

「なあ、分かってるよな?ロラン」








何をされているのか。
気付いた時には、裏切られた気持ちで一杯になった。

何で、とか。どうして、とか。
そんな単語ばかりが頭に浮かんだ。








「多分、もう、会えない。」

違う。

本当は、会えないんじゃない。
会わない、だけだ。

この関係を終わらせようと言い出したのはどちらからだったか。
そんな些細なことは、もう忘れてしまったけれど、

恐らく、これが。

最良の選択なんだろう。






ともすれば、力でもって捻じ伏せてしまいたくなる衝動を、
自分がどれだけの思いで押さえ付けているのか。
そのことを、彼は分かっているのだろうか。

擦り切れそうな細い線で保っている今の関係を守っていくのは、

もう、限界なのかもしれない。














「―…なんで、抱いてくんねぇんだよっ…!」

何て、醜い言葉だろうと思った。
サマルトリアの王子ともあろう人間が晒して良い醜態ではなかった。

けど、俺はもう限界だった。

生かさず殺さずのその態度にも。
期待を持たせておいて突き放す様なその言葉にも。

「お前は俺を何だと思ってるんだ?」

都合の良い時だけ利用されるような、そんな関係はもう嫌だった。







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