比べられないものだからこそ、どちらも誤りで、そしてどちらも間違ってはいないのだろう

 

 

Second Truth  ACT8

 

 

リリザに来るのは久しぶりだった。それこそあの旅以来だ。
いや、尤も、城から出ること事態、ここ数年あまりなかったように思う。
公務として領内の町や村を訪れることが無かったわけではないが、
そのどれもが公式のものであり、旅の時のように領民に交じり普通の旅人として振舞うことは許されなかった。
それに、リリザはローレシアとサマルトリアの緩衝地帯とも言うべき都市で、長年自治を守り通している。
国の公務で訪れることもほぼ無かったのだ。
そのためか、街門をくぐり街中へと足を踏み入れても、全くと言って良い程俺達に気付く者はいない。
この大陸は俺達の国だ。でも、こうして誰に見咎められることもなく街を歩いていると、自分の存在などどうでも良いものに思えてくる。

別に俺じゃなくても良かったんじゃないか?
こいつが「王」でなくたって、誰がその役を担ったって構わないはずだ。

俺達が、俺達だけがどうして―――

「サトリ…?」
「あ、…あぁ、すまない。ちょっと、ぼうっとしてた」

急に黙り込んだ俺を怪訝そうに窺って、ロランは顔を曇らせた。

「ごめん。無理矢理連れてきちゃって」
「え…?ああ、いや、違う。別にそんなんじゃねぇよ」

どうやら、サマルトリアに行かずリリザを訪れたことに、俺が気分を害しているとでも思ったのだろう。
俺をこの街へと誘った時のはきとした意志はどこへやら、ロランは始終すまなそうに俺の顔を窺う。

「だから、別に嫌じゃねぇし。折角久しぶりに来たんだ。楽しもうぜ?」

そう言ってやれば、漸く納得がいったのか。幾許か不安そうに眉を寄せつつも、ロランはひどく柔らかく微笑んだ。

「そうだね。もう、こんな機会、無いかもしれないし」

その顔に。その言葉に喉が詰まる。

俺は一体何がしたいのだろう。
こいつにこんな顔をさせて、こんな台詞を言わせているのは俺のせいかもしれなくて。

もちろん、それだけじゃなくて。
色々な柵とか。
どうしようもない、どうすることも出来ない沢山のものがあって。

そして。
そのどれもがどれよりも大切で、比べることの出来ない唯一なのだと。
それを俺達は分かっている。理解しているから。

だからこそ、尚更に申し訳なくて仕方が無いんだ。

ごめん、と。あの祠でこいつが言ったように、縋り付いて謝りたくなってくる。

「そうだな、時間も限られてることだし、ぱぁっと楽しもうぜ」

それでも。もう一度そう告げれば、今度こそロランは屈託無く頷いたのだった。

 

 

 

□■□

 

 

 

「あ〜、何か、久しぶりに遊んだって気がする」

ぼすっと寝台に身体を預けて息を吐けば、ロランも同じように笑って、備え付けの椅子に腰を下ろした。

「ああ、俺も、凄い楽しかったよ」

そう言って、彼はつい今しがたまで遊び歩いていたリリザの街に思いを馳せたようだった。
つられて俺も、何とはなしに宿の天井を見ながら、今日一日を振り返った。

城では見られないものを見たり、城では口に出来ないものを口にしたり、城では…―――

いや、やめよう。こういう考え方は酷く後ろ向きな気がする。

「サトリ」
「ん?」

無意識に出てしまっていたのか、微かに漏れた俺のため息を耳聡く聞きとがめ、ロランが俺を見遣る。
俺も天井から視線を外し、椅子に座ったままの相手にそれを合わせた。

「サトリ」

すると、確かめるようにもう一度名を呼ばれた。

「だから、何だよ?」

さして長い時間では無かった。
けれど、決して短くはない間を感じた。

そして、ようやっと続いたロランの言葉に、俺は間の抜けた声をあげたのだった。


「は?何で?」


目をぱちぱちと瞬かせている俺に、ロランは至極真面目に同じ言葉を告げてくるのだ。

 

「なぁ、サトリ。トランプ、やらないか?」

 

何故、今、この状況でトランプなのか。
疑問符の浮かびまくった俺の顔は。だが直ぐに自分の鈍さに気が付いて。
力の抜けた頬が徐々に引き締まっていくのを感じた。

あの時、自分だって言ったじゃないか、と。

案の定、いや違う。
次に彼はこう言うだろうという確信を持って、俺はその言葉を受け止めていた。

 

 

 

「サトリ。賭けをしよう」

 

 

 

□■□

 

 

 

宿の主人から借りてきたトランプは、使い古されたもので、あの時ロンダルキアの祠で使ったトランプを思い起こさせた。
そして、今やっているものも、あの時と同じくババ抜き。
二人でやるには微妙過ぎるものだが、あの時の決着をつけるには相応しいとも言えた。


賭け。


負けた方が勝った方のいうことを何でも一つ聞かなくてはならないという、考えた我ながら、どうしようもなく即物的な内容のそれだ。
だが、裏を返せば、当時の自分はそれだけ切羽詰っていたとうことなのだろう。


「君に出逢った時、俺は思ったよ」
「あ?」

揃ったカードをぱらりとテーブルに投げ捨てながら、俺は突然口を開いた相手の顔をまじまじと見返した。

「あ、こいつ、絶対僕のこと探してなかったんだろうなぁ、って」

くすくす小さく笑いを漏らしながら、ロランはリリザで再会した時のことでも思い出しているのだろう。
扇状に広げたカードから顔を上げると、可笑しくて堪らないといった風に俺を見る。

「何でそう思うんだよ…っ」

実は図星をつかれて気まずくなった俺は、目線をさっとカードへと逸らした。

「だって、君。『やばい、見つかった』って顔してたから」
「なっ、…っんなわけ―」
「なくないだろ?」

語尾をとられ、思わずぐっと喉が詰まった。

なんだよ、こいつ。俺が逃げ回ってたこと気付いてたのかよ。

声には出さず、内心毒づいていると。
ロランはさして気にする風も無く、俺のカードへとその腕を伸ばした。
その手の先。俺の手の内に残されたカードは後、二枚。

ハートのエースとジョーカー。

持っていかれるのは、一体どちらか。

「どうして、俺から逃げ回っていたのかは今更聞かない。けど―」

そこまで言って、彼はちらりと俺の視線を捕らえ。

そして不敵に笑った。



「俺の言うこと、一つ、聞いてもらうよ?」



彼は、抜き取ったそのカードと手持ちの最後のカードをテーブルへと放ったのだった。

 

 

 

□■□

 

 

 

「で、何?」

さっきの強気な態度はどうした、と思うほどロランがだんまりを続けるものだから。
俺は、焦れて先を促した。

下手な沈黙は落ち着かないのだ。この数日で俺は、嫌という程それを思い知らされていた。

さっさと賭けの代償なんて払っちまうに限る。
俺は、向かいに座る相手にぶっきら棒に言ってやった。

すれば、彼は心底困っていますといった風に苦笑いを浮かべるのだ。

「うん。実は二つあるんだ」
「一つだけっていう約束だろ?」

この期に及んで何を言うのかと呆れかえれば、ロランは更に考え込んでしまったようだった。
またも暫く沈黙が続く。が、さっきほど長くは無い。

「どっちもさ」
「うん?」
「どっちも、諦められないんだ」

やっと口を開いたと思ったら、ロランは今まで俺が見たこともないような顔でそんなことを言う。
困ったようで、泣きそうで、それでも笑顔を見せているような、そんな複雑な顔をして。

「でも」

ぽつりと漏らしたその言葉の後、彼はきっぱりと言い放った。

「決めた。俺から君への願いだ」

そして、告げるのだ。
真っ直ぐに俺の目を見つめて。逸らさずに。



「君があの時。ロンダルキアの祠で俺に言おうとしていたこと。それを、聞かせて欲しい。」



ああ、そうか――。



俺は思った。

こいつは。ロランは。

俺の言おうとしていたことなんて、最初から分かっていたのだ、と。

分かっていて、知っていて。

だからこそ、それを無理に聞き出そうとは一度たりともしなかったんだ。


この前も、そうだ。
聞き出そうとすれば幾らでも聞けたのかもしれないのに。
こいつは本気でそれをしようとはしなかった。

恐らく、それが最善だと分かっていたからなのだろう。


「サトリ、聞かせてくれないか?」


その彼が。その最善を裏切ってまで、それを聞きたいと、そう望んでくる。
それは、どれほどの決意であり、願いなのだろうか。


俺は思った。


その願いに応えてやりたい。伝えてやりたいと。
自分の紛うこと無き真実を、自分の口からこいつに手渡したいと、そう、思った。



でも―――



それは最善ではないのだ。

真実であっても最善ではない選択だから。

 

俺は、

 

 

「ごめん。それはできない」

 

 

あの時誓ったように。もう一度、その願いを。切って、捨てた。

 

 

もしかしたら。
いや、もしかしなくても。

ロランは俺に答えを貰えないと分かっていたのだろう。
俺がそれ以上何も言わないと、
軽く息を吐いて、そうか、分かったと、いっそ清清しいまでに潔く微笑んだのだ。

だが、その顔は直ぐに思い詰めたものへと戻っていく。

 

そして暫く。

 

じゃあ、もう一つの願いを聞いてくれ、と。

彼の唇はそう紡いだように、俺には見えた。

そう。
見えただけだった。

音は聞こえなかった。


俺が、耳を塞いだせいだ。力、一杯に。


「サトリ…?」


聞きたくない、と思った。その続きを聞いてはいけない、と思った。


5年前よりも。この前よりも。

そして、今の方が。


「サトリっ」


頑なに耳を覆おうとする俺の両腕に、咎めるように声をあげたロランの手が掛かる。

「………っ!」

無性に恐くなって、俺は彼から離れるように椅子から立ち上がった。
勢い良く退いたせいか、派手な音をたてて椅子が床へと倒れていく。
予想だにしていなかったその音に必要以上に驚いて、俄か意識がそちらへ持っていかれた。


「……!?…やめっ―」


だが、気付いた時にはもう遅い。

逃げるどころか、耳を塞ぐことさえ許されない。
腕を上げることさえ出来ないほど、強く。強く抱き込まれていた。


「離せよ、ロラン!」


聞きたくない。

聞きたくない。

聞いてはいけないんだ。


これじゃあ、5年前と同じだ。

ローレシアに凱旋したあの日。こいつの部屋で聞いた、あの言葉。

 

 

『僕は、サトリが―――』

『サトリを―――』

 

 

今も、この胸を縛り付けて離さないその言葉。

酷い痛みと同じぐらい、酷く大切で、酷く甘いその言葉。

「サトリ、俺は…、いや僕は――」
「嫌だ。やめてくれよ…っ。」

耳を塞ぐことはかなわなかった。
抱き締められた格好のまま、ロランの肩口から見える壁を見ていることしかもう出来ない。


「サトリ、僕は」


首筋に顔を埋めるように、ロランの唇が耳へと寄せられた。


嫌だ。聞きたくない。

聞いてしまったら。聞いてしまったら、俺は―――

 

 

 

 

 

「僕は、サトリが好きだ。」

 

 

 

 

 

視界が滲んだ。

 

 

 

 

「君を、愛している。」

 

 

 

 

つと一筋涙が伝った。

 

 

 

 

「サトリを、抱きたい。」

 

 

 

 

そして、ぽたぽたと。ぼろぼろと零れ落ちていった。


止む術を失ったそれは、5年分の想いと共に溢れ出してくる。


しゃくりあげそうになるのを堪えて、俺はロランの肩に顔を伏せ首を振った。


聞きたくなかったのは、その言葉を受け入れることが出来ないから。

お互いに苦しい思いをするだけだから、もう聞きたくなかった。

言って欲しくなかった。

 

 

 

「ごめん…っ」

 

 

 

やっと口に出せたのは謝罪の言葉。

それは5年前と全く変わらない俺の答で。
同じ台詞を言っているだけなのに、どうしてこんなにも、苦しいのだろう。

 

5年前よりも、もっと、ずっと痛かった。

 

 

それでも―――

 

 

どうして、こんなにも。

 

 

 

こんなにも、幸福なのだろう。

 

 

 

□■□

 

 

 

暫くは自分の嗚咽しか聞こえなかった。

その間中ずっとまわされたまま離れなかったロランの腕が、つと離れ。
そして、そっと頬に掛かった。



「君は、卑怯だな」



彼の口から零れたその言葉にびくりと顔を上げれば。
絡まった視線の先の、その顔を見て。

またも、幾筋もの涙がぽろぽろと頬を伝っていく。


どうして。なんで。

仕方ないなぁ、と。いつもそんな顔をして、こいつは俺を許すんだろう。

我が侭で、我が侭でどうしようもない俺を。

どうして、こいつはそんな顔で許せるのだろう。


彼の願いを全て拒絶して、好き勝手泣き出した俺を卑怯だと言ったその声は。
この上も無く、今まで聞いたことも無いほどに、優しかったのだ。


その優しさに、ごめんと、そう返すことしか出来ない俺に、彼は請う。



「触れさせて、くれないか」



そう言って指先を頬へと伸ばすのだ。



めしいた者がそうするように。
指先で、掌で顔の輪郭を辿っていく。


指先が額を通り、鼻梁を辿る。

確かめるように瞼の上を掠めれば、俺は涙と共に瞼を落とした。

その涙の跡を拭うように指が触れた後、小さく唇が寄せられた。

額に、瞼に、こめかみに、耳朶に。


そして、唇に。


詰めた様な吐息が、微かに互いの唇を濡らしていく。


俺は瞼を上げる。


そして滲んだ視界に彼を捉え。

 

 

 

俺達は、どちらからともなく、噛み付くように、貪るように、唇を、重ねた。

 

 

 

「は……っぁ」

唇を舐め、舌を絡ませ、深く唇を交わす。

角度を変える度に漏れる吐息は熱をもち、呑み込みきれなかった唾液が顎を伝った。

今まで触れることさえ叶わなかった半身が還ってきたような、そんな歓喜が思考を侵して。

胸を占める想いが、身体から力を奪い、そして。


「ロラ…っ、待――」


息苦しさで力の入らなくなった俺を、彼は易々と寝台へと押し倒していた。


「ロラン…!」


駄目だ。


一気に目が覚めていく。

霞んでいた視界が晴れるように、歓喜に震えていた心が、身体が、指先からすっと冷えていくのが分かった。


これ以上は駄目だ。

これ以上は踏み越えてはならない。


「ロラン!」


拒絶の意を込めて、彼の名を叫べば。
彼はごめんと言って、抱き締める腕に更に力を込めた。

ぎゅっと、そんな音がしそうなぐらいに強く。


ただ、抱きしめてきた。


「ごめん、何もしないから。暫く、このままで…いさせてくれないか」


額を押し付けられた肩口が、不意に熱をもつ。
その熱が本当に熱くて、伝わる体の震えと、そして噛み殺しきれていないその嗚咽に。

ああ、彼が泣いているのだと。ぼんやりとした頭に、思った。

 

 

 

例えば俺が王子ではなくて。
例えばこいつが王ではなかったら。


そしたら、何かが変わったのだろうか。


いや、その問いの答は、いくら探したところで見つからないだろう。


俺は、サマルトリアを愛し、その存在を誇りに思っている。
ロランが、ローレシアを愛し、誇りとしているように。


だから、その問い自体が間違っているんだ。


国への想いと人を想う気持ちは、どちらも真実で。
そして、そのどちらもが代わりのない唯一の想い。

どちらかを捨てることなど出来はしない。
どちらかを捨てた時点で、そのどちらをも裏切ったことになる。


それはどちらも確かな真実なのだから。



だから―――



…ああ、そうか。



俺は、肩口に顔を埋めるロランの髪に手を添えた。
彼の気性を体現したような、真っ直ぐで少し固いその髪を、そっと梳く。


「サトリ」
「うん」


何の意味も無い呼びかけ。

 

「サトリ」

「ロラン」

 

ただ、ぽつりと、互いの名を呼び交わした。

 

 

多分。それと同じことなのだ。

それはそれで、それ以上でもそれ以下にもなることのない真実。

だから、そのどちらをも、真実を真実として受け入れれば良いだけのこと。

どちらかのために、どちらかを否定することはない。

ただ、その真実の受け入れ方を変えれば良いだけなんだ。


どんな形になろうと。

それが、どんなに報われない形に見えたとしても。


真実を歪める必要はない。歪めることは出来ない。

 

 

だから。この想いは―――

 

 

 

□■□

 

 

 

子供のように抱き合ったまま眠りに落ちて、
お互いの腕の中で目が覚める。

そんな、朝を迎えて。

俺達の旅が始まったこの街は。
俺達の旅の終わりの街となった。


「サマルトリアまで送らせてくれ」

リリザを出、馬上の人となった俺にロランが言った。

「いや、いいよ。ここからだとローレシアと方向が逆になる」
「でも…!」

そうやって、送ると言って聞かないロランだったが、
俺が辛抱強く断り続けると、ついには盛大な溜息と共に首を縦に振った。


ただ、その直後に、彼はこう言ったのだ。

 

「その代わり、ルーラを使ってくれないか?」

 

一瞬、我が耳を疑った。

だが、続くロランの言葉と、その声音に。
俺は今まで黙っていたことが嘘のようにあっけなく頷いていた。

 

「サトリ。ルーラ、使えるんだろう?」

 

呆れるでもなく、怒るでもなく、彼はとても幸せそうに尋いてくるから。


「知ってたのかよ…」


驚きつつも、俺はその事実をするりと認めてしまっていた。

すればロランは、サトリのことで分からないことなんてないよ、と至極嬉しそうに笑うのだ。

君と少しでも長くいたかったから気付かない振りをしてた、ごめん、と。
お人好しにも程があるだろうという、そんな言葉まで付け加えて。そして。


「でも――」

「…?」


「君も、そう思ってくれてたんだろ?」


思わずこっちが頬を赤くしてしまうような、そんな質問を返してくる。


だから、こいつのテンポは良く分からない。
お人好しで真面目なのに。ふと、不意をつかれることが何度もあった。



俺は、その問いには答えを返さずに、小さくそっと呪文を詠唱した。
鞍がった馬ごと、発動し始めた魔力の淡い光に包まれる。

すると、彼は慌てて俺の方へと駆け寄ってきた。


「サトリ!」


もう少しだけ一緒にいたいと訴える彼を見遣って。


俺は、何故かとても誇らしく。
とても幸福な気持ちで。
馬上から、彼の身体を引き寄せていた。



そして、彼が身構えるより前に。
その唇に唇を寄せ。



呪文が発動する正にその直前。



あの時も。
そして、昨夜も言えなかったその言葉を。




俺の真実を。




彼へと、

手渡した。

 

 

 

 

 

「愛してるよ」

 

 

 

 

 

それは最善の形を許されなくて、一番でいることのできないものなのかもしれない。

それは形を変えて、二番目の位置にいなければ、生きていけないものなのかもしれない。




それでも。




掠れるように消える景色の中。
最後に見えたロランの顔が、あまりにも、愛しそうだったから。

 

 

 

一番でいることが叶わなくても。二番にしかなれなくても。

 

 

 

それでも、それは。







たった一つの、真実であるのだと。










分かった。

 

 

 

 

 

 

 

Second Truth   〜FIN

 

 

 

ここまでお読み下さった方、まずは有難うございました。

何だか消化不良極まりない話になってしまいましたが、一応これでこの話は終わりです。

当初一月ぐらいで書き上げる予定だったはずが、いつのまにやら一年近く掛かってしまいました。

気付いたら、据え膳、上げ膳のうえ、ロランを生殺しにしただけの話だったわけですが(笑)

一応、私的には、これでハッピーエンドのつもりです。

勝手しまくる二人を止められず、貼った伏線がことごとく回収されなかったのは、まあ見逃して下さい。

最終話で無理矢理詰め込んだんですけど、半分も回収し切れなかったような気が…。

まあ、というわけで、雰囲気のみ楽しんで頂けていたら幸いです(おい)

あ、それと一応後日談をちょろっと書くつもりですが、本編とはかけ離れたコメディ系になりそうなので、読まれる方はご注意下さい。

いっそ読まない方が綺麗に終われる感じがします(笑)

 

それでは最後にもう一度、読んで下さった方、有難うございました!

 

 

 

 

 

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