「本当の父親のことは分からない。生きているのか死んでいるのか…。」
「養父は、俺の両親は本国で忙しく仕事をしていると言っているが、本当はどうだか。」
「だって、十年以上もそれしか教えてくれないんだぜ?両親からの音沙汰も無い。迎えに来るのを待つのはもう疲れた…」
サトリの両親は?養父との関係は一体?

「申し遅れました。僕は篠宮露蘭と申します。御子息様のお話し相手をと、お邪魔させて頂きました」
「ほぉ…。篠宮家のご子息であられるか。うちの者が、ご迷惑をお掛けしてはいないかね?」
慇懃な態度を崩さない歳若いサトリの養父。ロランとの間に重い空気が流れる。

「『父様』と呼べと言っただろう、サトリ?」
「…申し、訳、ありません。…と……さ、ま」
「そうだ、それでいい。…で、サトリ?聞かせて貰おうか。どうやって篠宮の者をたらし込んだ?」
「な…っ、違う!ロランは…!!」
思いがけず養父の怒りを買ったサトリは…。

「この傷…。一体どうしたんだ!?普通にできるものじゃないだろう?」
「何でもない。お前には関係ないだろう!?いい加減離してくれないか…」
「いやだ。離さない。君の口からちゃんと理由を聞くまでは。」
「おいっ、やめろよ!いやだ、離せ…っ」
手首に巻かれた包帯。身体の傷。ひたすらに隠そうとするサトリに、ロランの箍が外れる(笑)

「サトリは…?」
「うちの子に何をしてくれたか知らないが、あの子は熱で寝込んでいるよ。申し訳ないが、お引取り願う」
「そんな…!少しでいい、彼に合わせて頂けませんか!」
サトリに会うことも叶わなくなったロラン。

「サトリ、逃げよう」
「何、言って…」
「ここから逃げて、二人で本当のご両親を探そう。」
「そんな…、生きてるかどうかも分からないのに」
「それでも、だ。僕は君をここから連れて逃げる」
やっと再開した二人のとった選択は、あまりにも子供じみた賭けだった。






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送