生まれ変わっても、また逢いましょう。だとか。
生まれ変わりってロマンチックね。だとか。

そんなこと言うやつの気が知れない。
そんなの、一生に一度、一つの生だけを全う出来るやつらの言葉でしかない。

生まれ変わりなんて、結局そいつじゃあないんだ。
その魂がアイツのものだと分かっても、所詮そいつはそいつ。アイツじゃない。

ならなんで。俺は。
こんなにも長い間。その魂を追いかけて、見守っているんだろう。

共に歩んだアイツは、もう、いないのに。

 

 

□■□

 

 

そんな呪いがあって堪るか。最初はそう思った。
だってそうだろう?不老不死なんて、古今東西、欲深な人間達の垂涎の的だ。
ベラヌールで倒れた時、まさか掛けられた呪いがそんなものだとは思ってもいなかった。
起き上がることも出来ない苦痛は世界樹の力で快復したから、俺もアイツもそれで全てが終わったと思いこんでいたんだ。

だが、それは違った。
破壊の神を呼び出す前に、彼の大神官に俺は誘われたのだ。
破壊の神と共に生きないか、と。お前には、それだけの力と命を与えた、と。
それが何を指すのか、「力」が何なのか、それは分かっていた。
現に俺は「破壊の力」を操れるようになっていたからだ。

だが、与えられた「命」が何なのかということは、
その時の俺には知る由もなかった。

そして、知ろうともしなかった。
ただ、この旅の使命を果たそうと、目の前の敵に向かって行くだけだったから。


気付いたのは、旅も終わり季節が何度か巡った後だった。
いつまでも変わらない自分の姿に疑念が確信に変わり。
そして俺は、国を出た。

最初はこの「呪い」を解くために。
解呪法がこの世に存在しないと分かった後は、人目から逃れるために。
アイツを避けるために。

それでも、たまに隠れてそっとアイツの姿を見に行くことはあった。
突然姿を暗ました俺を、アイツが必死で探していたことを知っていたから。
けど、アイツの前に出て行くことは俺には出来なかった。

だって、辛かったんだ。苦しかったんだ。

歳をとり、妃をむかえ、子をもうけ、孫に囲まれ、
そして幸せのうちに鼓動を止めるであろうアイツを見ているのが。
俺はあの時の姿のまま、あの時の想いを変わらず持ち続けたまま生きていかなくてはならないのに。
アイツは、変わっていく。その姿も、想いも。

だから会わなかった。会えなかった。

ただ、最後に。
アイツの葬列に潜り込んで、その亡骸の上に白い花を投げ入れる時、

その顔が、表情が、あの時のアイツと何ら変わらない、俺の知っているアイツでしかないことに気が付いて。

俺は。
声をあげて、泣き叫んだ。


何で、会わなかったんだろう。
どんなに時が経っても、アイツはアイツでしかないのに。
それは変わらないのに。
どうして俺はアイツに会おうとしなかったんだろう。

会っていたら。

せめて、一言だけでも、彼に。

 

それは後悔なんてものじゃなかった。
絶望なんてものでもなかった。

ただただ、空虚でしかなかった。




□■□




それから俺は、「アイツ」を探した。
何百年、そして千年という時間を越えていく中で、
何度か「アイツ」を見つけることがあった。
でも、一度として「アイツ」に近づくことはしなかった。

だって、分かってしまったんだ。
それは「アイツ」であってアイツじゃない。
俺と共に歩んだアイツは、もういない。
分かり切っていたその事実を突き付けられただけだった。

それでも俺は、この空虚を抱えながら、「アイツ」を探し、追いかけ、見守った。
馬鹿だと、愚かだと思いながらも、見守ることしか出来ないでいた。

いや、見守ることしか許されないと思っていた。



だが、「アイツ」の何度目かの生で、それは起こった。
俺が、ではなく。「アイツ」が、俺を見つけ出したのだ。


――その時の歓喜を、痛みを、何に例えられようものか。


そいつがアイツでなくても。
そいつが。
いや、アイツの魂が、俺を、見つけてくれたのだ。


自惚れでもいい。そう思いたかった。




「なんで、そんなこと言うんだ…っ!」

「うまくいかねぇよ…。俺、お前の1300歳年上だぜ?」


だが、1000と300を越える年月を経た再開は、あの時と変わらず別れを選ばせる。
たぶん、俺が「こう」である限り、それは変わらないのだろう。



けれど、これだけは伝えよう。

1300年前に言えなかった、この一言を。

アイツに言いたかった一言を。

そして、こいつにも言いたいその一言を。

 

 

「俺を見つけてくれて、出逢ってくれて、ありがとう」



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はいはい。ファンタジーファンタジー。
何だこれ、とか冷たい眼でみてくれて構いませんので、
石は投げないで下さいね〜(笑)

ちなみに、七夕記念っぽい散文のつもりだった。
玉砕もいいとこです。







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